カルマンの渦

 
 
光は波としての性質を持つため 絞りを通るときに内側に回り込む回析現象が生じます
一般的に各レンズが持つ最大の解像度が開放時から2 から3絞りの数値だと言われるのはこのためであり
レンズの各収差との折り合いがとれたあたりと考えられます

以下にPC MICRO NIKKOR 85mm 1:2.8D を使用した絞り数値の違いによる解像度の違いをご覧ください

pixel 等倍
 

 
1:5.6
 
1:16
 
1:22
 
 
 
 
 
 
1:32
 
1:45
     
 
 
     

 
F5.6のシャープさが目立つ、F16までなら画像処理により使用可能だと思いますが
F32以降は使用不能の画像になってしまいました
 
それではなぜ大きな数値の絞りが設定できるようになっているかと言えば 被写界深度の問題に関わってきます
絞りを絞るほど前後にピントの合う範囲が広がることを被写界深度が深くなるといいますが
被写体全体にピントを合わせたいような商品撮影などでは絞りを絞ることで(数値を大きく)ピントを調節しています
ただ、大型カメラを使用して 大きなフォーマット(4×5インチなど)で撮影すれば
印刷時の拡大率が低くすむため 回析現象の影響を少なくできるということです
サイズの小さなCCDでは回析現象の悪影響が直接画像に出てしまう訳ですね

 
開放
 
中間
 
最小
 
 
 
 
 

 
カルマンの渦
 
絞りが開放でも最小値の小さい状態でも同じように回析現象が起きるのではないか だから同じように解像度にも影響するのではないかとお思いでしょう
そのとおりですが 直進する光の量と回り込んで渦巻きを作ってしまう量が 相対的に小さな絞りのほうが渦の影響を受けてしまうということです
川の流れに杭がある風景を見かけることはよくありますよね。その杭の下流側には渦巻き状の乱れが生じています

これをカルマンの渦といいますが 流れの量に比例することを利用してEFI EGI(エレクトリック フューエル インジエクション)という名称で車のエンジンの燃料供給システムに利用されていました
 
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