「とうさつだ! 盗撮だ!!
昼下がりの大須万松寺に甲高い声が響きわたった
「モシモシ盗撮です!」
「60代の男です 50代かもしれません」
スマホを耳に叫んでいたのは 二十歳前後の小柄な男だった
数分で駆けつけた警官二人に向けワタシはシャッターを切った
公務中の公務員には肖像権が認められにくい
(報道での公共性が認められるため等)
とはいえ無闇矢鱈に写真を撮れば 公務執行妨害罪にあたる可能性がでてくる
若者たちとワタシと距離を置いて警官の事情聴取が始まる
ベビーカーの三人連れをすれ違いざま 手を伸ばし上からシャッターを押した
母親らしき女性がアッと声を上げたのが始まりだ
コンデジの液晶を確認しながら警官そしてベビーカーの画像を消去する
なんだかんだのお小言を聞き流していると警官の相棒が若者を連れてきた
きっと盗撮の定義などを警官から教えてもらっていたのだろう
不快な思いをさせてごめんね
ワタシは顎マスクにして謝罪をした
若者は友達の奥さんの声に過剰に反応して110番したとのこと
二人の警官は足早に商店街の通路を抜け表通りに向かっていく
息を切らしながらワタシは後をついていき警官の会話を聞いた
「民事でもいいから訴えてやる!」
警官に向かって若者は息巻いていたらしい
7月13日 盗撮を対象とした「撮影罪」が施行される |